離婚協議書を作成する目的とメリット
離婚には協議離婚・調停離婚・裁判離婚の3つがあります。
日本においては90%以上が協議離婚となっています。
協議離婚とは、財産分与や親権等について夫婦二人で話し合い、その内容の合意に基づき離婚することを指します。
ここで問題になるのが、養育費や慰謝料等で長期的に継続的な支払いが発生する場合です。
少し古いデータではありますが、厚生労働省の資料によると、継続的に養育費を受け取っている母子家庭世帯は、24.3%と非常に低くなっています。
さらに、離婚時にそもそも養育費の取り決めをしていない世帯は54.2%と半数以上も存在しています。
しかし、子どもを社会人になるまで養育していくためにはどうしても多くのお金がかかります。
養育費は子どもの権利ですから、「〇円を」「△歳まで」のように必ず取り決めておくべきです。
ただし、たとえ取り決めていたとしても途中から養育費が未払いになるケースもかなり多く存在しています。
そんな時に役に立つのが離婚協議書です。
離婚協議書には、「どちらが親権者なのか」であったり「養育費はいつまでいくら支払うのか」であったり「子どもとの面会交流の詳細」であったり「財産分与の詳細」などをまとめた書類です。
このような離婚に関する取り決めは契約の一種であるため、内容に合意した夫婦は離婚協議書に書かれた内容をきちんと守らなければなりません。
相手からの支払いが滞った場合などに、離婚協議書は契約書としての効力を持つので、相手に支払い義務があることの証拠能力があるのです。
そのため、支払い義務のある相手方に、「養育費を支払わなければならない」という心理的効果を与えることができます。
このように離婚協議書の作成には基本的にはメリットしかありません。
むしろ、離婚されるのであれば必ず作成するべきだと思います。
デメリットがあるとすれば、行政書士等に依頼することで費用が発生することです。
ただし、離婚協議書にも弱点があります。
それは、離婚協議書だけでは法的な強制力がなく、未払いの相手に支払いをさせるためには裁判を行う必要があるということです。
裁判には数か月単位で時間がかかることがあり、養育費を支払わせるまでが大変なのです。
では養育費をあきらめるしかないのか・・・というと、そうではありません。
未払いの相手から早期に養育費を支払ってもらう方法はあります。
それは、離婚協議書を公正証書にするという方法です。
原則として夫婦二人で公証役場へ出向いていただくなど、作成するハードルは少し高めではありますが、離婚協議書を公正証書にすることで、裁判をすることなく相手の給与や財産を差し押さえて養育費を受け取ることができるようになります。
そのため、葛葉行政書士事務所では、離婚後に安心して生活していくために、最低でも離婚協議書の作成をし、できるだけ公正証書の作成までをお勧めしております。
もちろん、「相手に支払い能力が無い」であったり「もう関わりたくない」であったりと色々な考えがあると思います。
しかし、「相手方には自分に養育費を支払う義務がある」という証拠を残しておくことは、離婚後の新生活を前向きに進めていくためにも、一つの大きな安心につながります。
葛葉行政書士事務所では離婚についてお悩みの方のお力になるべく日々活動しております。
離婚協議書のことでご質問などありましたら、お気軽にお問い合わせください。